ネット証券会社の取引手数料無料化!今後のビジネスはどうなっていく?
証券会社が各種取引手数料の無料化を発表しています。
対象取り引きは投資信託や、ETF、米国株など様々です。
ただし各社が持っている強みのサービスについて全て無料化します!と言うわけではありません。
各社収益の柱である手数料ビジネスを完全無料化してしまうと、ビジネスが成り立ちません。かといってこの流れに乗らないと何もしていない会社のレッテルを張られ顧客離れも起きてします。企業にとってはジレンマでしょう。
今回は手数料無料化の報道と、今後この業界のビジネスはどうなるのか考えてみました。
証券会社の取引手数料無料化の発端
10月1日に米国の大手証券会社チャールズ・シュワブが手数料撤廃を発表しました。内容は米国株ETF、オプションの手数料を撤廃するというもの。
これを受け米国の主要オンライン証券会社の株価は軒並み下落したようです。TDアメリトレード・ホールディングは26%下落し、下落幅は1999年以来だそうです。まさに革命ですね!
チャールズ・シュワブ自身も9%下落したようです。
投資家は低コスト志向になっており証券会社も手数料値下げで競争してきましたが、ついに撤廃(無料化)まできました。ここまでしないと生き残れないということもあるのかもしれません。
日本の証券会社の手数料無料化ニュース
チャールズ・シュワブの報道の影響を受け日本でも手数料無料化のニュースが相次いでいます。
SBI証券
① すべての投資信託の販売手数料の無料化
② ETF・REIT等の信用取引の取引手数料を実質無料化(全額キャッシュバック)
③ 夜間PTS取引の手数料を実質無料化(全額キャッシュバック)
SBIは投資信託は約2,700本そろえており業界トップです。そのうち現在1,381本がノーロードですので残り半数もノーロードとなるわけです。
このラインアップをもとにますます競争優位になりそうです。
楽天証券
楽天証券も2,600本の投資信託を揃えていますのが、これが全て無料となります。
【投資信託】12月16日より、すべての買付手数料が無料に! | 楽天証券
またSBI証券と同様に、ETF・REITなどの信用取引手数料も0円になります。
ETF・REITなどの信用取引手数料を0円に!(2019年12月16日(月)約定分~) | 楽天証券
マネックス証券
マネックスは手数料無料化の動きに少し迷走しました。
12月3日 投資信託、ETF、REITの購入手数料をキャッシュバックで実質無料と発表。
12月4日 投資信託についてはキャッシュバックではなく無料化(ノーロード)とすることに変更。
おそらく他社がノーロードで発表する中、歩調を合わせたのではないかと思いますが、米国株最低手数料撤廃の時もありましたが、社内の混乱が目に浮かびます(笑)
1,183本のファンドが全てノーロードになります。
実質キャッシュバックのキャンペーンは終了するものもあるので注意してください。
すべての投資信託がノーロード(申込手数料0円)に | 最新情報 | マネックス証券
ETF、REITは当初発表通りキャッシュバック対応のままです。
投資信託も!ETF・REIT等の信用取引も!実質0円! | 最新情報 | マネックス証券
DMM.com証券(DMM株)
12月9日約定分より米国株式の取引手数料が無料になります。
従来あった1約定毎の0.45%の手数料が無料、上限手数料も無料です(最低手数料はすでに無料)
DMM株は米国株は768銘柄あるのでこれは大きいと思います。
私は米国株は少しやっていますが、SBI証券で取引していますので、どうしても手数料はかかってしまいます。
この流れから、ネット証券各社がいつ米国株手数料完全無料にしてくれるのか?楽しみであると同時に早くしろ!と言いたいです(笑)
岡三オンライン証券
2020年1月6日よりブルベア含むすべての投資信託が全てノーロードになります。
今まではキャッシュバック対応でしたがここもノーロードの流れになりました。
【会社案内】投資信託 購入時手数料の完全無料化のお知らせ|2019年12月04日|プレスリリース|ネット証券会社なら岡三オンライン証券
auカブコム証券
auカブコム証券は、信用取引の取引手数料が無料化となります。
信用取引売買手数料無料化に伴う変更点のご説明|info|株のことならネット証券会社【auカブコム】
LINE証券
11月27日からすでに取り扱い投資信託26本の購入手数料が無料です。
取り扱い数が少ないですが、若者にターゲットを絞って投資を始める入り口には良いかもしれません。
フィデリティ証券
投信積立投資はすでに購入手数料が無料、また新規口座開設して3か月間も無料、4か月目以降もオンライン取引なら購入手数料が無料です。600本以上の取り扱いファンドがあります。
松井証券
2019年12月9日約定分より、投資信託 (ETF、ETN、REIT除く) の購入時手数料が完全に無料化。なお松井証券がオンライン証券大手5社の中で、最初に投資信託の購入時手数料を全て無料としています。
ネット証券会社は今後どのようビジネスに注力するのか?
証券会社は手数料収入は収益に大きく貢献していました。その額は2割~5割とも言われています。しかし今後はその収入は期待できなくなってきます。
投資信託については信託報酬による収入があります。しかし投資家の低コスト志向に応える形で信託報酬も下がってきていますので、何もしなければ証券会社に入る収入は減少していきます。純資産額を積み上げて信託報酬収益を増やす以外に手はありません。
そのためには投資家にとってよりよいファンドが必要ですし、証券会社にとっても優秀なファンドを取り扱って多くの方に販売してかなければならないはずです。
投資の市場は日本ではまだまだ成長余地がある市場だと思っています。
SBI証券は今回の手数料無料ともないこんなメッセージを記載しています。
当社は今後も、「業界屈指の格安手数料で業界最高水準のサービス」を追求し、個人投資家の皆さまの資産形成を全力で支援してまいります。
「投資家の資産形成を全力で支援する」とはどういったビジネスなのか?サービスなのか?NISAやiDecoの浸透なども含めて、投資に興味がない、怖くて手が出ない人をいかに取り込んでいくか?というところもカギとなると思います。
SBI証券は、SBIホールディングスとして、銀行・保険も含む金融サービス事業とアセットマネジメント事業で競争力強化をして成長していく路線を掲げています。
SBI証券はその一部門を担っているにすぎません。
またSBI証券ではありませんが、グループの住信SBIネット銀行はネオバンク構想というキーワードがありました(私は今回初めて知りました)
ネオバンク構想
パートナー企業の顧客がその企業のサービスを利用する際、それに付随する銀 行機能を住信SBIネット銀行が黒子として提供し、スムーズで快適にサービスを利 用できる仕組みを、パートナー企業と協同で構築するもの
SBIがフィンテック企業と組んでサービスを展開しているのはまさにこれです。
もう従来の証券ビジネスだけで考えていたらダメなんでしょうね。
それでは。
投資は自己責任でお願いします。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
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